Dear HERO[実話]




「うん……秀…が気になるかな…」



「秀?あっわかる。私も秀が一番いいなって思うもん。優しいしね」



その言葉に私は黙って頷いた。

そして莢香と二人、部屋に戻るためベンチから離れた。




部屋の中では相変わらず貴久と歩美が盛り上げている。

そんな中、歌の合間に歩美が突然質問した。




「ねーみんな彼女いないの?」


一瞬静まり返る室内。



「いないよ!

 
 秀以外はね…」



貴久の答えに秀は黙っていた。



「えー彼女いるのに合コン来るの?」



さらに歩美が問い詰める。



「今、あんまりうまくいってないんだよな?秀…」



自分の言ってしまったことをフォローするように貴久は秀に向かって言った。



「…あぁ、まあな…」



みんなの注目を集める中、秀が渋々答える。

歩美、貴久、秀の三人以外はそんな会話を黙って聞いていた。