そしてまたやってきたんだ。
いつものようにあの《恐怖》が…
壱春の目にドキッとする代わりに、ドクンッと心臓が波をうった。
…何で?
あれからもう5年も経つのに…
いつも一度はあの男が目の前に現れる。
忘れたいのに忘れられない。
“コワイ”
そう思ってしまうんだ。
そしてその感情は抑えられずに涙となって目からこぼれ落ちてくる。
突然泣き出す私に驚く壱春。
男にとってきっと私はかなりめんどくさい女だ。
5年も前のことを未だに引きずっている。
だけどね…
一度負った傷はそう簡単に消えることなんてなくて、男の人が想像するよりもずっと苦しいものなんだ…。

