「えっ?あっ…あぁ……」
急に目をそらす奏汰。
突然その事に触れられて驚いた様子だった。
不思議そうに奏汰を見るとその後の言葉を続けた。
「ごめん、ほんとは何もないんだ…」
「え……」
「ただ凛に会いたくて…」
「………」
どういうこと?分からない。
物に吊られて奏汰に会ったわけではないと言ったら嘘になるかもしれない。
でも奏汰は初めから嘘をついていたってこと?
私は莢香に裏切られたあの時から嘘をつかれることに敏感になっていたんだ。
会いたいならどんな手段も使うの?
あの子の話を持ち出して、私に会うために彼女のことも利用したの?
何も言わない私を見て奏汰は焦った。
「ごめん、ごめんね凛。どうしても凛に会いたかったんだ…」
「………」
私には返す言葉がない。
無言で車に向かいながらもう二度と奏汰とは会わないことに決めた。

