Dear HERO[実話]



奏汰から病気のことを聞かされた私は、二日後の検査結果を待つことになった。

その結果によって私の気持ちが変わるわけでもないけど…



そして二日後 ―――




「検査結果は、やっぱり影があって白血球の数値も高いって。詳しいことはMRIをしないと分からないらしい。また来週病院に行かないと…」




「………」




「今の可能性では癌の確立は七割らしいよ。医者にはまだ望みはあるから心配いらないって言われたけど、中々そうもいかないよね…」



「そう…でも悪いほうに考えちゃ駄目だよ」



検査結果を話す奏汰にかける言葉はこれが精一だった。




「そうだね、ありがとう」






奏汰と会う最後の日、二人で映画を観に行った。

今までと変わらない奏汰と過ごす一日。


映画を見終え、駐車場へと歩きながら奏汰に聞いた。




「奏汰…この前言ってた渡したい物って何だったの?」




奏汰が話したときから、そのことがずっと気になっていた。


私に渡したいあの子に関係するもの…


どれだけ考えても想像がつかなかった。