Dear HERO[実話]




「俺は凛と出会えて幸せだったから、もう満足だよ…」



今にも消えてしまいそうな声で言う奏汰。




「何で…何で前向きに考えようとしないの……」




私の目からはいつしか涙がこぼれていた。


怖かった…

だってこの世界からいなくなることを覚悟してる。

生きることを諦める奏汰の姿が怖かったんだ…。





「凛が泣いたら俺も悲しいから泣いたら駄目だよ。俺は幸せだから…」





“しあわせ”


本当にそうだったの?


私に奏汰への気持ちはなかったのに、それでも幸せだったの?




奏汰と離れるつもりだった。

この話がなければ・・・


結局は奏汰の想いに負け、二週間後もう一度会う約束をした。



本当はこの日で終わりにするはずだったのに・・・