でもそんなある日・・・


奏汰は突然その彼女を失った。


彼女が亡くなったという知らせが病院から奏汰の耳に入る。

どういうことか理解できないまま、奏汰はとにかく病院へと向かった。


そこで奏汰が見たのは…泣き崩れる母親。

その横で寄り添う父親から彼女の死の真相を聞かされた。



彼女は学校に行く途中、知らない男数人に襲われ車に乗せられた。

抵抗したって女一人が数人の男の力にかなうはずがない。


車の中でされることはわかっている。


彼女はその男たちに乱暴された。



そのとき、どれだけの恐怖があっただろう…

その恐怖は体験した人にしかわからない。



そしてそのまま車から放り出された彼女は、家に帰ることなく…


……マンションの屋上から飛び降りた。



遺書も何も残っていなかったという。

奏汰にさえ何の連絡も入っていなかった。


奏汰は今でもその娘を助けてあげられなかったことを悔やんでいると言った。