「お願い・…最後のワガママ聞いて?ちゃんとケジメつけるから。どうしても渡したいんだ…」



懇願するような奏汰の声。



「私はもうここでケジメをつけたいの!」



強く言う私に、それでも奏汰は折れなかった。




「だって凛に渡さなかったら捨てなきゃいけなくなるよ。最後に受け取ってほしいんだ。前話した女の子の話…覚えてる?」



「覚えてるけど私と関係ないじゃない…」




少し前に奏汰から聞いたある一人の女の子の話。

それはとてもとても悲しい出来事…。


奏汰が話すそのときの情景がフラッシュバックするように頭に流れてきた。



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昔、奏汰とその女の子は友達同士だったらしい。

人に心を開けずいつも自分の殻に閉じこもっていた彼女を妹のように思いとても大事にしていた。


そして奏汰はそんな彼女を少しでも変えてあげたくて、色々と相談に乗っていたらしい。


そんな彼女は当時まだ高校生だった。

そして奏汰にだけは彼女も心を開いて話せるようになっていったという。