Dear HERO[実話]




「凛ごめん。今日会えなくなった…」



「…え?」




龍斗の言葉に私の心は一瞬にして沈んでいった。

約束して会えなかったことは初めてのことではないのに、気持ちが沈んでいく感じは慣れるものではない。




「さっき仕事中にドライバーで怪我して、今病院に居るんだ…」



電話の向こうからは病院の院内放送が聞こえてきた。



「…えっ!?怪我ってどこを?」



予想もしていなかったことに戸惑いを隠せない。



「目の上をちょっと切った…」




……目?


怪我をした場所を聞いただけで、私の中に恐怖心が走る。



「…大丈夫なの?ひどいの?どこの病院に居るの?」



思いついた言葉をとにかく全部口にした。



「まっちょっと落ち着けって。深く切ったみたいだけど多分大丈夫と思う。今、目開けれないからな…。とにかく今日は安静にしとけって……」



電話先で焦る私に龍斗は苦笑いしながら話した。



「今から病院に行くよ!」



このまま居ても経ってもいられない。