店を出ると龍斗の車に乗った。

どこに行くわけでもなく、ただ駐車場で灯りが眩しいレストランを見ながら、二人だけの時間を過ごす。


外の風は冷たくて心まで寂しくなってしまうから二人で一緒に車に乗った。

そうすれば暖かいから。


二人だけの空間は誰にも邪魔できないから。

遮ることなどできないから…。




「凛、見て…」



その声に顔を右に向けると、龍斗が左腕のシャツをまくっていた。



「………?」




龍斗が私に見せようと思っていたもの。




…綺麗……



そこには紫の龍が刻まれていた。


天に昇っていく紫の龍…

その美しさに見とれた。




「これって本物?」



「もちろん!」



龍斗の腕に刻まれた一匹の龍は一生消えることはない。

初めて見るものに目が離せなかった。