私も正直それを考えた。

私は【Ryuto】と彫られたほうを持ち、龍斗には【Rin】と彫られたストラップを持っていてほしかった。


だけど、恥ずかしくてそのまま【Ryuto】と彫られたほうを渡してしまったんだ。



「でも凛がこっちをくれたし、仕方ないかぁ…」



そう言って私の顔を見ながらからかう。


そんな龍斗の言葉に戸惑いながら、初めに勇気を出して【Rin】のほうを渡せばよかったと後悔した。


俯きしょんぼりする私を見て、龍斗は微笑みながら目の前でストラップをライトにかざして見てる。



「じゃあお互い持ってて後で交換するか?」



ニコッと微笑む龍斗。




「……う…うん!」



その言葉が嬉しくて、顔を上げ最高の笑顔で答えた。


それぞれの手の中でキラキラと光るお揃いのストラップ。



だけど、今も私の手の中にあるストラップには【Rin】の文字が刻まれている。