Dear HERO[実話]


卒業式の翌日は社会人としての初出勤日。

初めて社会へ出ることへの戸惑いは、今まで経験してきたアルバイトとは違った。

同年代とばかり接してきた学生時代とは環境も雰囲気も違う。

毎日が不安と緊張だった。


だけどそんな私を龍斗は応援してくれていた。



= 受信 =

 To:凛
From:龍斗

【慣れない仕事で疲れてるだろ。でも凛ならできるよ。いつも応援してるから心配するな】



龍斗の言葉がめげそうになる私の気持ちを後押ししてくれる。


そして龍斗と過ごす変化のない日々が過ぎて行った。


そんなある日、龍斗といつものようにレストランに入り食事をしながら話した。

それは昔からずっと変わっていない。


レストランに入ると店員が声をかけてくる。



「いらっしゃいませ。お煙草は吸われますか?」



そう聞かれる度に龍斗は「禁煙席で…」と答える。


それを当たり前のように答える龍斗の姿が好きだった。