Dear HERO[実話]



「凛……!」



ショーウィンドーの一番上に飾られた紫色の石を見上げる私に、ルリが後ろから声をかけてきた。

手には何も持っていない。



「決まったの?」



「うん、ネックレスにしたよ。今名前入れてもらってるんだ。凛もここで買ったら?」



「…え?……うん…」



龍斗と同じものを持てることに魅力を感じたけど、彼女でもないのにお揃いのネックレスなんて買えない…

そんな思いが巡ってきた。




「まぁ…ゆっくり考えなよ!」



ルリはそう言って私の側を離れると、今度は自分のアクセサリーを探しに行った。


ネックレスや指輪は持てないにしても、龍斗とお揃いのものを何か見つけたかった。


早くしなければ、他の友達と待ち合わせる時間になってしまう。

もう時間がなかった。



気付けばルリは自分のアクセサリーの買い物まで済んだ様子。


早くしないと…