“新着メール1件”
切れた携帯に目をやると樹からメールがきてる。
= 受信 =
To:凛
From:樹
【一人で大丈夫?ちゃんと戸締りして寝るんだよ】
樹のメールを読みながら、さっきまで聞いた龍斗の言葉を思い出していた。
「好きな人はいる」
「知ってる人だよ」
「凛だよ。何度も言わせるな…」
「ずっと好きだった。忘れられなかった」
気付けば携帯を持つ手が震えていた。
――― 龍ちゃん…!!
それから私の中にはいつも龍斗の存在がいるようになってしまった。
龍斗のことを忘れていたわけではない。
忘れようと必死に自分の想いを押し殺してきたんだ。
龍斗の存在を見えないように隠して、自分に偽りながら心の片隅に置いた。
そうやって樹のことだけを見ようとしてきた。
そして、それがやっとできるようになってきた矢先の龍斗の告白だった。

