Dear HERO[実話]




「ずっと好きだったんだよ。 忘れられなかった…」



龍斗の声が遠くに聞こえるような気がした。

言われているのは自分じゃないような、他人事のような気がしていた。




「………」



思ってもみない龍斗の言葉に声にならない。



「でも、まっ今お前には彼氏がいるんだし、今さらどうこう言える立場じゃないよな…」



言葉を返せない私の代わりに龍斗は明るく話す。

さっきまでの心臓の鼓動がさらに早く動き出した。



「ほんとはこんな話するつもりじゃなかったんだよ。ただ元気にしてるか気になって電話しただけで…」



「…うん」



私もまさかこんな話を聞くことになるとは夢にも思わなかった。




「俺が言ったことは気にするな。彼氏とがんばれよ。じゃあ…」



プツッ…

 ツーツーツー…

そう言って電話は切れた。


耳に響く機械音を聞きながら呆然とする。



 ドクドクドクドク…


心臓は異常なほどに早く鼓動していた。