「…凛の知ってる人だよ」
「えっ……誰?」
―― 莢香…?
―― 歩美…?
―― 絵里…?
龍斗が答えるまでの時間がとてつもなく長く感じられた。
莢香の名前がでてきたら…
心臓が爆発しそうだ。
ドクドクドクドク…
心臓の音が電話を通じて龍斗に聞かれてしまいそうだった。
そして龍斗が口にした名前は…
「………っ…」
…………。
「………え…?」
龍斗の言っている意味が分からない。
「……凛だよ…。何度も言わせるなよ」
「…どういうこと?」
戸惑いながらも聞いた。
「おまえのことが気になってた…」
真剣な龍斗の声…
「えっ…うそ…だってあのとき…」
『嫌いじゃない』
そう言った龍斗の言葉の本心は好きだったってこと?

