Dear HERO[実話]



「いいじゃん。私に彼氏できたこと知ってるんだし、私にも教えてよ♪」



なるべく明るい声で龍斗の答えを促す。


大丈夫…私には樹が居る。

だから龍ちゃんの恋を私は応援するから。

大丈夫だよ…



そして…沈黙の後に龍斗は口を開いた。



「…好きな人は…いる……」



その言葉を聞いて納得すると同時に、ショックを受けてる自分がいた。


おかしいな…

応援するはずでしょ?

私は大丈夫なんだよ!自分自身にそう言い聞かせる。




「なんだ~やっぱりいるんじゃん。 私の知ってる人?」




普通に話してるつもりでもやっぱり苦しい。

互いに知ってる人といえば、莢香か歩美か絵里ぐらいしかいない。


どの名前がでてきても嫌だ…


だけど、その名前を知らないことのほうが胸が苦しかった。

だから知ってる名前が出てきても平然を保てるように…心構えをした。




「知ってるっていうか…」



龍斗は黙った。

私も何と声をかけていいのか分からないまま、沈黙が続く。