「うん…。龍ちゃん何か言ってた?」
龍斗のことを気にしていないふりをするので精一杯。
それでも龍斗がどんな言葉を返したのか知りたくなるのは、私の中に龍斗の存在が残っている証拠だ。
「うん…彼氏できたなら良かったって。でもリトさん気付かれないようにしてたみたいだけど、私見ちゃった…」
「………」
…見た?
「リトさん、まだ凛からもらったネックレスしてたよ…」
「……えっ…」
その後、莢香が何を話していたのか覚えていない。
龍斗が今もあのネックレスをしてるということが、私には嬉しいと同時に疑問だった。
……どうして?
どうして今でも付けてるの?
そして莢香がなぜそのことを教えてくれたのかも分からなかった。
特に理由なんてなかったのかもしれない。
樹と付き合い始めて3ヶ月が経った頃に聞かされた莢香の話を思い出していた。

