「これから会える?」



そう言われて、私の心は樹に会える嬉しさで怒りがだんだんと収まっていった。

我ながらなんて単純なんだろう…



それから一時間後に会った樹の顔色は最悪だった。

昨日私を送った後、友達と飲みに行った樹。


完全に二日酔い…

でも寝ていたいはずなのに、きつくても会ってくれる樹の優しさに胸が痛んだ。



車が向かった先は一軒の家。

どこだかわからず不思議そうにその家を見つめた。



「俺の家…」


樹と付き合って半年。

初めて連れてきてもらった。


ずっと樹の家へ行ってみたいと思っていた。

しかし樹は家へ連れて行くどころか、家族の話もほとんどしなかった。


それが突然連れてこられて、私は戸惑いを隠せない。



きっと家へ帰りたいほどきつかったのだろう…


私は戸惑いと共に胸を高鳴らせながら、樹の家へ初めて上がった。


部屋へ行くと、ビスがチリンチリンと首につけた鈴を鳴らしながら走り寄ってくる。

そのまま部屋の中へと案内してくれた。