Dear HERO[実話]



でもその前に海の真ん中で、不安定なジェットの上を移動するのは大変だ。


ライフジャケットを付けてるとはいえ、私は泳げない。

こんな海の真ん中に落ちたら…

そう思うと頭の中は恐怖でいっぱいだった。


実際はそんな心配は必要なかったけど。

樹はちゃんと私が落ちないように支えてくれていたから。


やっとのことで場所を交代すると、私は目の前に広がる青い海に圧倒された。


後ろに乗っていたときとは全く違う景色が広がる。


ブォン!

樹が後ろからエンジンをかけた。




「凛はただハンドルに掴まっていればいいから」



樹に言われたとおりハンドルを握った瞬間、ジェットは勢い良く動き出した。


私は必死でハンドルを握っていたけど、実際操作しているのは樹。


樹は後ろで立ったまま運転していた。

私に覆い被さるように、後ろからハンドルを握り運転している。


そしてそのままスピードをあげていく…。