Dear HERO[実話]




「…ジェット……乗る?」


「う…うん」



私が返事をすると、樹は急に元気になって立ち上がった。



「よし、じゃあ行くぞ!その前に着替えなきゃだな…」


Tシャツとジーパンを着て椅子に座る私を見る。


私は水着に着替え、上からTシャツと短パンを着た。


着替えを終えて出てくると、樹が「じゃあジェット借りますますね」とシゲルに言っているのが聞こえてきた。



そしてさっきまでの眠気は消えたかのように、スッキリした顔で私にライフジャケットを渡した。


シゲルは「おぉ…」と言いながら右手の肘をついて頭を押さえ、左手を上げて応えている。



二人で砂利道を歩き海岸に向かった。



「ジェット…シゲルさんの借りるの?」



「俺のジェットここに来てから壊れた。来る前あんなに整備したのに…」



悔しそうな表情を見ながら、私も樹のジェットに乗せてもらえないのは残念だった。