「いや、無理……」



それだけ言うとまた修理を始めた。

樹とシゲルは聞いていなかったのか、そのまま話に夢中になっている。


しかしはっきりとカズの言葉を聞いてしまった私は、一人横目でその姿を睨んでいた。




8月のある週末 ―――


樹に誘われ海に行くことになった。

もちろん二人きりではなく、ジェットスキーの仲間たちと…


二時間かけて海に向かう。

私のバイトが終わってから出発したため、海に着いたのは空がオレンジ色に染まる頃だった。



前の日から来ていた何人かはすでにビールを飲み始めていてテンションも高め…。


折畳式の机と椅子がたくさん並べられ、机の上にはすでにビールや使った後の紙皿が散乱していた。


私も渡されたお皿と紙コップを手に、椅子に座る。

そしてウーロン茶を飲みながらその周りで盛り上がる会話を笑って聞いていた。