しかし、樹と会う度に少しずつ惹かれていくのを感じる。


5回目のデートは暖かくなり始めた3月の終わりだった。



3月の終わり…


一年前のこの季節は私にとって暗闇でしかなかった。

この季節から始まって、四季を巡りまたここから始まる…



そしてこの時も私の側にあるのは桜の木。


家の近くにある公園には一本の桜の木があり、蕾が開き始めていて、外灯が優しく照らしていた。


その灯りにより、桜の花びらはピンクではなく薄いブルーがかかる幻想的な表情を見せている。



風が吹けば、その花びらはひらひらと風の力によって空を舞うのだった。


そんな桜の木の下にベンチが置いてあり、樹と腰掛けた。