「ごめんね。家に帰るって約束したから…」



悔しそうに言う私に、龍斗は寂しそうな顔をしながらも無理に引き止めようとはしなかった。

優しい目で静かに頷いた。



そして結局、この日二人が初詣に行くことはなかったんだ。

この日は冷え込んで相当寒かったはずなのに、寒いと感じた記憶はない。


それは龍ちゃんの腕の温もりと強い心の温かさがあったからだよね。

寒がりな私が1月を迎えたこの瞬間を温かいと感じるなんて…



心が温かいと人は自然と笑顔になれる。

外は寒くても体はポカポカと温かくなるんだ。




あのとき、無理してでも龍ちゃんの傍に居ればよかったのかもしれない。


親に怒られても、殴られてもあなたの腕の中で眠ればよかったのかもしれない。


バカだな…

今になって後悔してる。