Dear HERO[実話]



龍斗は抱き締めていた腕を緩めると、さっきと同じ真剣な眼差しで言った。



「俺にその男の家教えるなよ」



「え……」



その言葉の意味が分からず、涙目のまま見上げた。



普通はその男の家を教えろ!って言わない?

教えるなってどうして…


やっぱり龍ちゃんにとってめんどくさい話だったのかな。

その後に続く龍斗の言葉を予想できないでいた。





「もし居場所が分かったら…


俺そいつのこと


 殺しに行きそうだから…」




「………」




その目は本気だった。

鋭い眼差しに変わる。




「好きな女こんな目に合わせられて、何もするなってほうがおかしいだろ!そいつ見つけたら多分自分の感情抑えられなくなる。だから俺に教えるな……」



一点を見つめる龍斗の瞳は私を見てはいない。

きっとその先には今、あの男の姿が見えているはずだ。