腹立つけどこいつとは…少しの間一緒に暮らさなきゃいけないのか…。
ってあたしは納得してない…!
郁未くんはなんであたしがいるのにこいつに部屋を貸したの?
本当にどうでもよくなったの…?

この際あたしを追い出すいい理由になるかもって…。
でも、あたしには何の連絡もない…。

わけわかんない…。
なんでこんな知らないヤツと…。
…そういえばこいつの名前知らないし、いつまでも呼ばないわけにはいかないし…。


「名前は…?」

「黒崎 類(クロサキルイ)」

「類、…。」

「ん?」

「なんでもない。」

「あっそ。」

いつまでここにいるんだろう。
…そういえば、明日は日曜日か…。
郁未くんの帰ってくる日…。

よし、明日聞いてみよう。
きっと夜帰ってくる、そうしたら、なんで貸したのか、聞いてみるんだ。

「あんたってさ。」
何を思ったのか突然しゃべり始める類。

「何?」

「郁未の彼女?」

「そう、…だと思う。」

急に自信がなくなってうつむいた。
そもそも、あたしは郁未くんの彼女じゃなかったのかもしれないと思うと、急に苦しくなる。

「だと思うってなんだよ。」

小さく笑った類に、あたしも笑った。
これは自嘲の笑い。

あたしは、勘違いしてただけなのかもしれない…。