♡ 蜂蜜色 ♡



あたし、朝比奈襟花(アサヒナエリカ)はどこにでもいる専門学生だと思う。
ココア色の腰まであるロングヘアに、高くも低くもない身長、それに、標準的な体型。すこし華奢かもしれないけど、どれもこれも普通。

夢を追って専門学校に入学したのは、高校の周りの友達とは少し違っていたけれど。
高校を卒業して、専門学校に入学してからはや4ヶ月。
季節は夏真っ盛りに差し掛かっていた。


「襟花、いい加減彼氏と別れたら?」
そう言いながらストローをくるくる回して、中にある氷をがらがらと言わせる親友・秋元愛依(アキモトメイ)。

グラスは汗をかいて水滴だらけ。

「なんでー!あたしは郁未(イクミ)くんが好きなの。別れる気なんてない。」

あたしはやけになってグラスのアイスティーを一気に飲み干す。
ズズズ、とストローが音をたて、吸うのをやめた。

「だからって…あんたの話聞く限り、あんたある意味“ヒモ”状態じゃない。」

「ちょっ、違うって!大体あたしは女だし、そもそもバイトだってしてるし、…郁未くんに貢がせてなんかいない!」

あたしは強めにばん!とテーブルをたたいた。
カフェにいるお客の7割がこっちを見た。

「え、襟花!…そうは言うけど…その郁未くんってのは毎週3万おいてどっか行っちゃうんでしょ?」

「…うん。」

「それにあんたはその3万で、郁未くんの借りてるマンションの部屋で暮らしてるんでしょ?」

「………ハイ…。」

あたしは小さくなって小さくうなずいた。