恋花火 ~恋は甘く切ない~


そんなことを考えながら駐輪場でウロウロしてたとき。

「おい。後ろ乗ってけよ」

少し低くて、でも優しい、そして愛しい愛しい声。


・・・・・・夢だと思った。

まさか、まさか来てくれたの?


「・・・・・・丹後、くん」


そう、あの丹後くんが・・・・・・。

「妃紗帰り道1人は危険だろ?だから送ってやるよ」

え?

何それ。

「何言ってんの?今まだ昼前だよ?安全だと思うけど?」

口ではそう強がってるけど、ホントはすっごく嬉しい。

送ってくれるんでしょ?

素直に嬉しいって言えたらどれだけいいか。

「そうゆうこと言う奴は送りませーん」

なんて、可愛くいう丹後くんにもドキドキした。


「嘘! 妃紗すっごく不安だったの! だから送ってよ」

でも、やっぱり一緒にいたいよ。

どんな理由があっても一緒にいたい。

あたしのこと好きにならないのなら・・・・・・せめて、今のこの時間を大切にしたい。

そう思った。


「ん。じゃあ後ろ乗れ」

そうだ。

これって2人乗りじゃん。

しかも丹後くんと・・・・・・。