「……うん。上がって、この前のマフラーも返したいし」
悲しいはずなのに、あたしの声は冷静で。
丹後くんをあたしの部屋に通して、飲み物を用意する。
「丹後くん、紅茶でいい?ごめんね、うち今紅茶しかなくて」
紅茶を2人分用意して、自分の部屋に戻った。
「あぁ。サンキュ」
それっきり、会話はなかった。
あたしから切り出すのは変だと思ったし、このまま何も喋らないまま過ごしていたいとも思った。
だけど……。
「妃紗、ごめん」
突然、あたしの耳に届く言葉。
なに、ごめんって。
やっぱりあたし達ー……。
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