恋花火 ~恋は甘く切ない~



あれから、丹後くんとは会えないまま日は過ぎて行って、もうすぐバレンタイン。


なんでかわかんないけど、丹後くんはあれ以来学校を来なくなった。


辞めたわけではなさそうだけど……このままで単位とか大丈夫なのかな?


もう1回2年生をやり直すなんてことになったら、あたしが嫌だ。


まあそんなあたしも今授業をサボって図書館にいるんだけどね。


別に本が読みたいとかじゃないけど、冬の屋上は寒いし、他に行くところもなかったから図書館になったってだけ。


図書館ならソファーだってあるし。


特に何もしないまま、ボーッと過ごす。


〜♪

静かな図書館に響く着信音。


こんな時間に誰?


もしかして、丹後くん!?


そう思ってスマホを見ると意外な人物からだった。


「……もしもし」


あたしはすぐに出て、相手からの反応を待つ。


『……もしもし、妃紗?』


スマホ越しに聞こえてくる、懐かしい声。


いつぶりだろうか。


「いきなりどうしたの?……都ちゃん」


都ちゃんと話すのは……。


だって、いきなり学校を辞めて。


会えなくて、話もできなくて。


聞きたいことや言いたいことはたくさんあったけど何もできなくて。


『あのね、妃紗……』


なんだろう。なぜか嫌な予感がする。


この先に言われることはいいことではないような気がして。