そんな可愛いって言われたら何か照れるかも……。
って、ダメダメ!
私には丹後くんがいるんだし、だいたいこの人誰よ!?
名前も知らない男相手に照れるなんて、そんなことはあるわけないんだから。
「えへへ、ありがとー。何か元気出たよー」
あたしがナンパ男にそう言ってる時だった。
背後から冷たい声が聞こえたのは。
「妃紗、何してんの?」
この声は丹後くんだ。
でも、何か怒ってるような?
あ、欲しかったものがなかったから怒ってるのかな。
「あ、妃紗ちゃんの彼氏来たみたいだから俺行くねー。またね妃紗ちゃん」
ナンパ男はほんとに丹後くんが来るまであたしと話してただけで、そのままどこかへ行ってしまった。
残されたあたしはというと、なんとも言えない空気。
だって、バカなあたしから見てもわかるくらい丹後くんは怒ってんだもん。
「た、丹後くん?」
あたしが声を掛けても無視するし、というかあたしを睨んでる?
あたし、なんかしたかな……?
「お前、なにしてんの?」
へ?
ナンパ男と話してただけだけど……。
「あの人ね、丹後くんを待ってる間妃紗の話し相手になってくれたの」
「んなこと聞いてねぇから」
丹後くんはそう言うと、あたしの腕を勢いよく掴んで、そのまま会場の外へとあたしを引っ張っていった。

