「妃紗はあんたになんて話すことないから」
「妃紗ちゃんっていうのかー。可愛い名前だねー」
あたしが冷たく言ってんのに、あいかわらず話し掛けてくる男。
「あ、てかその浴衣可愛いねー。すごく似合ってるよ」
あたしが無視してんのにさらに話し掛けてくる。
って……いまコイツ、なんて言った!?
「ね、ねぇ!今可愛いって言った!?似合ってるって言った!?」
ナンパ男はあたしが興奮気味で話し出したのに驚いたみたいだったけど、すぐにさっきのようにニコニコして言った。
「うん、言ったよ?その浴衣、妃紗ちゃんの雰囲気にすごい合ってるよ」
お世辞だろうか。
なんか褒めすぎな気がするけど……
「ほんと!?じゃ、じゃあ今日の妃紗のカッコ、五段階評価でいくつ!?」
たぶん、さっきのはお世辞だと思うから3くらい?
それともあたしをナンパしようとするくらいだからわざと高く言って5とか?
「えーと、5かな。てかそんなの俺に聞かずに彼氏に聞きなよー」
「だって、妃紗の彼氏ね、このカッコ見て“普通”って言ったんだよ!?ひどくない!?」
もう今のあたしは丹後くんがいなくて寂しいっていう気持ちなんて消えてた。
「普通はひどいねー。大丈夫、妃紗ちゃん可愛いよ」

