「それがさ、不思議なことにあたしらみんな都の家知らないの。……あ、でも」
その子はそこまで言うと何かを思い出したかのようにした。
「丹後くんなら知ってるんじゃない?都の家」
たしかに。
丹後くんと都ちゃんは付き合ってたんだからきっと知ってるよね。
よし、丹後くんに聞いてみよう。
「妃紗、丹後くんに聞いてみるよ。ありがとね」
あたしはその子達にお礼を言うと、教室へ戻った。
ほんとは今すぐにでも丹後くんの教室に行って都ちゃんの家を知っているのか聞きに行きたい。
でも、もう今は授業が始まる1分前。
間に合わない。

