「この子、随分大胆なことを書いていますね」
お嫁に行く前の女の子が、あなたの肌に触れたい、何て良く言えたもの。でもそれ以上に、会いたいという強い気持ちが前に出ていた。
「これ、宗次郎の返事はないんですか」
桂君が聞いてくる。でも私の答えを待つ前に気付いたらしい。
「手紙だから両方一緒にはないのか」
ふむふむと一人で納得している。
「それもあるけど、ほら」
私は日付を指差す。明暦二年の師走。翌年一月に明暦の大火、江戸を焼き尽くした大火災が起こっている。
「燃えた」
桂君がぽつり呟く。
「たぶんね」
宗次郎さんの手紙だけじゃない。このお春さん自身も、おそらく。
お嫁に行く前の女の子が、あなたの肌に触れたい、何て良く言えたもの。でもそれ以上に、会いたいという強い気持ちが前に出ていた。
「これ、宗次郎の返事はないんですか」
桂君が聞いてくる。でも私の答えを待つ前に気付いたらしい。
「手紙だから両方一緒にはないのか」
ふむふむと一人で納得している。
「それもあるけど、ほら」
私は日付を指差す。明暦二年の師走。翌年一月に明暦の大火、江戸を焼き尽くした大火災が起こっている。
「燃えた」
桂君がぽつり呟く。
「たぶんね」
宗次郎さんの手紙だけじゃない。このお春さん自身も、おそらく。



