BlacK DoG

分からない。分からないけど…嫌だ。
死んだなんて認めたくない。

こうして此処に居るのに。きっとなにかの間違い、そう間違いよ。
病院で意識不明とか、きっとそうなんだ。

早く身体に戻らなきゃ!



「待って朱音ちゃん!」


「…やれやれ、ですね」


「追いかけないと、上に行けなくなる。カルセドニー、早く」


「仕方ありませんね。ジェット、クンツァイト、貴方たちは役立たずなので帰って良いですよ」


「…どうせ視えちゃいねぇけどよ」


「それでもお役に立てることがあるかも知れないしっ」


「…では邪魔だけはしないで下さいね」


「はい…」



市立病院ならきっと私の身体、あるよね。
幽体離脱とかって、手遅れになるとホントに死んじゃうとか漫画にもあったし…急がなきゃ!


病院への道を走る。走っても全然苦しくない。
身体は暑くて仕方ないのに、走ってる感覚はない。


ショッピングモールを抜ければ病院は直ぐ。
今までにないくらい全力で走る。



「朱音が死んだなんて信じられないよ…」


「今日も駅前で遊ぶ約束してたのに…」



私のこと?
あ、そういえば約束してた。
新しく出来たカフェに行こうって言ってたんだ。

声掛けたって気付いて貰えない、よね。
待ってて、直ぐに戻るから。
そしたらケーキ、食べに行こうね。



「きゃあぁぁぁぁぁ!」


「やだ、なに?!」


「ぃ、今、窓に…」


「なによ、何もないじゃない」


「映ったのよ!黒焦げの朱音が!」


「…今日は帰ろう?ショックで見えたりしたんだよ、きっと」


「でも今…、うん…帰って休む」



黒焦げの私…?

ショッピングモールを抜けていく二人を見送ってからお店の窓を見る。




「きゃああ!ゎ、私…っ?!」




黒く焦げてただれた私。
こんな…こんな姿になってるの?

これじゃあ生きてる訳…でも、集中治療室とかで辛うじて生きてるかも…!