「…さん、朱音さん。起きられますか?」
「う、ん…、神父さ、ん…?」
「…起きれるんですね。着きましたよ」
変な神父さん。
そりゃ寝起きあんまり良くないけど、起こして貰えたら起きれるよ。
まだ眠たい目を擦りながら身体を起こすと、そこは学校じゃなかった。
此処じゃないよって口を開こうとしたけど、身体の熱さがどんどん酷くなって呼吸すらままならなくなった。
胸を押さえて踞ってしまう。
なにこれ…。
なんでこんなに苦しいの!?
私の身体、どうなっちゃったの?!
「出せ」
苦しくて苦しくて、どうして良いか分からない私を誰かが車から降ろした。
「な、に…?」
「初めまして、可愛らしいお嬢さん」
「だ、れ…?」
私を優しく降ろしてくれたのは金色の髪のとても格好良いお兄さん。
神父さんもすごく素敵だけど、神父さんとはまた違ったタイプで格好良い…童話の王子様みたい。
「ユークレースって言うんだ。ユークで良いよ」
優しく頭を撫でてくれる。
この人も、すごく安心する。
なんでだろう?初めて会ったのに…。
「朱音さん。ゆっくり息をして下さい。大きく吸って、吐いて」
「は、ぁ…はぁ、はぁ…すみません、私…」
「謝る必要はありませんよ」
車から降りた神父さんが私の背中を擦ってくれた。
大きくて温かな手。
すごく、心地良い…。
「カルセドニー、もう良いか?」
「ジェット、女性には優しくって言ってるだろうがこの野蛮人」
「るせぇな、お前にゃ話し掛けてねぇよユーク」
「…あ?」
優しく撫でてくれたユークさんがジェットと呼ばれた人を睨み付ける。
顔の良い人が凄むと…怖い。
