BlacK DoG


「ありますよ?ねぇジェット」


「あぁ。現場付近にあった指紋付きライター、近所の防犯カメラに映る犯行時刻にうろつくお前の姿、厳重にロックされてたお前のパソコンから見付けた日時入りの火事の写真…などなど」


「な、なんで…」


「調べたからに決まってんだろ。ハッキングとかハッキングとかハッキングとか」


「ハッキングばっかじゃねぇか!ていうか、それも犯罪だろうが!」


「越谷(こしや)さん、必要以上の発言は許していませんよ?」


「ひ…っ!」



ジェットさんとクンツァイトさんが調べて証拠まで集めてくれたみたい。
遅れて到着した警察の人に、あの男を引き渡してた。


動かぬ証拠ってやつらしく、逮捕状までしっかりあった。
アイツは脅されたとか、殺されそうだったとか色々騒いでいたけど、誰も信じていなかった。

だって神父さんがそんなことするとは誰も思わないよ。



「朱音さん、今度は上がって貰えますか?」


「あ、…どうしたら…」


「空を見て下さい。光が見えるでしょう?其処へ、身体を浮かせようとイメージしてみて下さい」


「あ…」



言われた通りにイメージしてみる。
ふわりと身体が浮いた気がした。


あんなに熱かった身体も、苦しかった呼吸も、なんだか楽になった気がした。



「朱音さん、どうぞゆっくりお休み下さい」


「…はい」


「朱音ちゃん、笑って?笑顔の方が可愛いんだから」


「…ユークさん。ありがとうございました。分かった気がします。次に、進みます」



神父さんとユークさんが見送ってくれた。
自分が壊れてしまうくらいに憎んだのに、今はとっても清々しい。
不思議なみなさんのおかげだと思う。


光へ向かって、次の私になろう…。



「可愛かったな、朱音ちゃん」


「えぇ、子供はみんな可愛らしいですよね。…扱いやすくて」


「それ、言っちゃダメなやつ…。俺も白い光みたいいなのがふわって空に向かうの視えたよ」


「…なんっにも見えねぇし分からねぇ…」


「ジェットは弾く体質ですしね。さ、帰りましょうか」




  AkanE ―Fin―