仕事を終わらせ、荷物をまとめる。



「大輔〜。お小遣いー、臨時ボーナスー、早く〜。」



社長室の扉を開けて手を出す。



苦笑いしながら財布を取り出した大輔から取引料金を受け取る。



「多いよ?」


手のひらには5万円。


「なぁ、かのこ。」

目の前に立つ大輔が不思議な表情をしている。


「泰斗のこと、真剣に考えてやってくれ。」

「はぁ?」


いきなりなんなのだ、こいつは。


「泰斗はさ、ずっと本気なんだよ。言わないけどさ、かのこのこと愛してるんだよ。お前が小さい時から、かのちゃん、かのちゃんって…構ってただろ。
好きじゃなきゃああはしないと思うんだ。」



…好き?



如月さんが、あたしのことを?



あり得ない。

それはない。



「自分が追い出す言い訳に最もらしい理由つけないでよね。

美那ちゃん嫌いじゃないから譲るけど、いちゃつくのに邪魔なだけでしょ。


そりゃさ、見ちゃったあたしがいけないんだとは思うけどさ、大胆なことする大輔も悪いんだからね。


如月さんのことは問題じゃないでしょ?」




…以前、美那が泊まりに来たとき。



うっかりふたりの情事を見てしまったのだ。

座って絡み合う裸の2人。


綺麗に見えたんだけどな。


それ以来、大輔はかのこを追い出すのだ。



「泰斗だからお前を任せてるんだ。あいつは無責任な奴じゃないから。」


そんなことどうでもいい。



早くうちに帰って荷物を準備して。


ビジネスホテル、どこにしようかなぁ。