帰り道、いつものスーパーで買い物をする。


後ろをついて歩くのは、カートを押している如月だ。


前を歩かず後ろを歩くのは、防犯の意味があるのだという。



「で、如月さんはまたハンバーグなんですね。好き過ぎやしませんか?」

「かののことと同じで、ひとつのものに執着するんだよ。
っていうか、かのの作る飯が美味いんだから仕方ないだろ。」



言い訳が子供みたい。


「海里さんは?」

「まだだろ。なんであいつが邪魔しに来るんだよ。大輔達はいいとしてさ。」


ふて腐れる如月が可愛く見えた。

「だって海里さんは如月さんのお姉さんでしょ。」


「兄貴だ。」


…そこに拘るのね。


「家族だもの。仲良くなりたいじゃない。」


お父さんとお母さんに会う前に、兄弟と仲良く。


「大輔と如月さんみたいに、あたしもなりたいから…」

「兄貴は食わせ者だから不安なんだよ。
この前みたいに股間に手をやったりキスしたり…俺が落ち着かないんだ。」


そっと握られた手。
優しくて…暖かい手。


「大丈夫。だってあなたのお兄さんだもん。」


笑うかのこにつられたのか、はたまた諦めたのか。


如月はため息をひとつ吐いて笑った。