そんなこんなで、その日の夜。



朝の約束通り、美那がうちにやってきた。

晩御飯の支度をしていたかのこは、暫くの間知らん顔を決め込んでいた。


そのうち、大輔とイチャイチャ始めてあたしのことなんか、無視だろうし。



そう思っていたのに、美那はかのこの横で手伝いを始めたのだ。


「かのちゃんにお料理教わりたくて。
あたし何にも出来ないから…大ちゃんに何かしてあげたくても出来ないでしょ。」

…っていうか、邪魔にしかならない。

こんなおっちょこちょいに手伝わせたら、返って時間ばかりかかってしまう。


「あのさぁ、大輔に何かしたいならすればいいけどさ。あたしは教える気もないし、ふたりがいちゃつきたいだけなら退散するんだけど。」



めんどくさい。


美那は嫌いじゃないけど…苦手かもしれない。



あたしにはない物を沢山持っている気がする。


柔らかさ、可愛さ、素直さ。


あたしには…無い。



「かのちゃんと話をしたいの。
というより、大ちゃんが心配してて…かのちゃんには迷惑なのかもしれないけどね。悩んでるんじゃないか、って。
あたしになら話しやすいんじゃないか、って。」



22歳の年下に、恋愛の相談?



まぁ確かに美那の方が先輩かもしれない。



「ねぇ、美那ちゃんってさ、大輔が最初の相手?」



ストレートに問う。


一瞬たじろいだものの、美那は真っ直ぐにかのこの目を見て答えた。


「違うよ。大ちゃんは2人目。ちなみにロストバージンは16。…早いでしょ、えへへ。」



褒めてないし。


かのこは脱力していた。

16で…セックスしてたの?この子…。

道理でお色気ムンムンだわ。
あたしにはないもの。色気、もプラスだわ。


「かのちゃんはまだバージンでしょ。

だから彼氏とセックスするのが怖い。

…違う?」



…違わないけどさ。あんたに言われたくないかな。



「美那ちゃんってさ、エロいよね。
前にさ、あたしが見ちゃった時も見られてるって分かっててワザとしてたでしょ。」



だって目があったよね。



ニッコリ笑う美那は曲者だ。


「でもさぁ、セックスって快感を覚えたら気持ち良くて、で、彼氏と一緒になれてるんだーって幸せになれて、いいと思うよ。かのちゃんも、彼氏としたらわかると思んだけど。…何が怖いの?」



それがわかれば苦労しない。