如月の居ない職場はなんだか淋しい。
そんな風に思うようになった自分に少し驚く。
何しろ以前は「かのこ」「かのこ」と用事もないのに自分を名前で呼ぶ彼を鬱陶しく思っていたのだから。
なんて都合よく感じるものなのだろう。
恋は不思議だ。
何しろ24歳にして初恋。
何もかもが新鮮で楽しくて…淋しくて。
「かのこちゃん。」
米澤が、書類片手ににこやかに近づいてきた。
「あ、慎一郎さん。」
母の兄の息子。つまりは従兄弟。
兄の会社で部長を務めてくれる、やり手の元営業マン。
「この前は大丈夫だった?専務に話したら走って出て行ったから…」
「ありがとう。慎一郎さんのおかげで助かりました。」
ニッコリ笑うと、照れ臭そうに頭を掻く。
「余計なお世話かなーって思ったんだけどね。よかった。」
かのこの頭をくしゃくしゃっと撫でて、通り過ぎる。
その昔、かのこに求婚したことのある米澤。
今は妻も子供もいて、幸せそうな姿を見ることができるが、複雑な気持ちになったものだ。
好きだ、と言っておいて別の女性と結婚。
ありえないわ、とかのこはずっと思ってきた。
もし…もし。
万が一。
如月が自分ではない誰かと結婚することになったら…。
正気でいられない気がする。
あのお見合いの話の時にこんな気持ちをまだ知らなくてよかった…。
フジタの社長令嬢。
諦めてくれたのかな。
パソコンにデータを入力しながらあれこれと考え事をしていたら、会社の電話が鳴った。
「お電話ありがとうございます、株式会社S.A.T(エス・エー・ティー)、斉藤でございます。」
久振りに電話対応するなぁ〜、と呑気に電話に出る。
《如月さんいる?》
とても会社に電話してきたような感じではない気がするんですけど…。
「生憎如月は出張中でして…お急ぎでしょうか?」
《あぁ、じゃあいいわ。》
そうつっけんどんに答えると、電話の主は通話を切ってしまった。
…なんか嫌な感じの女性。
なんだろ。
ムカムカする。
そんな風に思うようになった自分に少し驚く。
何しろ以前は「かのこ」「かのこ」と用事もないのに自分を名前で呼ぶ彼を鬱陶しく思っていたのだから。
なんて都合よく感じるものなのだろう。
恋は不思議だ。
何しろ24歳にして初恋。
何もかもが新鮮で楽しくて…淋しくて。
「かのこちゃん。」
米澤が、書類片手ににこやかに近づいてきた。
「あ、慎一郎さん。」
母の兄の息子。つまりは従兄弟。
兄の会社で部長を務めてくれる、やり手の元営業マン。
「この前は大丈夫だった?専務に話したら走って出て行ったから…」
「ありがとう。慎一郎さんのおかげで助かりました。」
ニッコリ笑うと、照れ臭そうに頭を掻く。
「余計なお世話かなーって思ったんだけどね。よかった。」
かのこの頭をくしゃくしゃっと撫でて、通り過ぎる。
その昔、かのこに求婚したことのある米澤。
今は妻も子供もいて、幸せそうな姿を見ることができるが、複雑な気持ちになったものだ。
好きだ、と言っておいて別の女性と結婚。
ありえないわ、とかのこはずっと思ってきた。
もし…もし。
万が一。
如月が自分ではない誰かと結婚することになったら…。
正気でいられない気がする。
あのお見合いの話の時にこんな気持ちをまだ知らなくてよかった…。
フジタの社長令嬢。
諦めてくれたのかな。
パソコンにデータを入力しながらあれこれと考え事をしていたら、会社の電話が鳴った。
「お電話ありがとうございます、株式会社S.A.T(エス・エー・ティー)、斉藤でございます。」
久振りに電話対応するなぁ〜、と呑気に電話に出る。
《如月さんいる?》
とても会社に電話してきたような感じではない気がするんですけど…。
「生憎如月は出張中でして…お急ぎでしょうか?」
《あぁ、じゃあいいわ。》
そうつっけんどんに答えると、電話の主は通話を切ってしまった。
…なんか嫌な感じの女性。
なんだろ。
ムカムカする。

