優しく淡々と先輩は答えてくれる
「…って、伝えられたら苦労しないよね」
先輩は私から離れ私を見詰める
「俺は御子が好き」
私だって先輩が大好きだ、でも…
「御子は琉斗君が好き」
先輩は笑っていたけど、悲しい目をしていた
「俺は笑ってる御子が好きだから、琉斗君に言ってきな?琉斗君は御子が嫌いな訳ない」
あぁ、今ハッキリと解った
私は琉斗が好きなんだ
双子の弟に、恋した姉
「振られたら泣きに、実ったら笑って報告しにおいで、…送るよ」
先輩に家まで送ってもらった
マンションのロビーで別れ、手を振ったときに先輩が口パクで
『頑張れ』
と言っているのが直ぐに解り、鼻の奥がツンとした
「あ、お帰り」
「ただいまー」
玄関に入ると母が出掛ける支度をしていた
「どっか出掛けんの?」
「どっかって買い物よ、今琉斗いるから勉強でも教えてもらいなさい」
「う…うん」
出掛けていった母に何故か罪悪感を覚えた

