弟に彼女が出来た、それが悩みなんておかしいじゃん



先輩にも好きな人がいれば解るかもしれない…



「先輩には…」



「ん?」



息を吸って、思いきって聞いてみる



「好きな人はいますか?」



「うん」



ハッキリと、表情を変えずに言った



「もし、その人に彼氏が出来たらどう思いますか?」



少し驚いた顔をして、直ぐに答えた



「奪う」



西嶋先輩ってそんなキャラだったんだ…意外



「なんで?御子の好きな人に彼女出来たの?」



「…っ」



好きな人…



「…」



先輩は言葉に詰まる私を見て目を伏せた



「好きな人じゃないの?話してみて、最後まで聞くから」



「…双子の弟に彼女が出来たんです」



気付くと私は先輩に話していた



「なんか、もやもやするんです…可笑しいですよね、関係無いのに…」



「可笑しくないよ」



先輩は私を抱き締めてくれた



「御子はさ、琉斗君を家族として好きなの?異性として見てるの?」



「…っ」



温かい、男の人の胸に包まれて不意に涙が零れた



「…異性として好きなんだね」



さっきより強く抱き締められる



「今言うのも難だけど、俺は御子が好きだから、泣いてるのは見たくない」



先輩が私を好き…



「姉弟だから諦めるなんて辛いじゃん?…付き合えなくたって気持ちは伝えたほうが楽だと思う」