ONLY YOU~年の差結婚の秘密~

運転手の長谷が不意に運転席のドアを開けた。

長谷の視線に気づき、肩を震わせる。

「開けましたね…敦司様」
長谷はバックミラーを通して私の顔を覗き見た。


「…これは…賄賂だな」



隠れ宿のある地域には水害から首都・東京と周辺流域を守るために1952年からダム建設の話は出ていた。



しかし、ダム計画は貯水水量や水没物件に問題が生じ…はかどらなかった。



その間に地元住民により強力なダム建設反対運動が起きて…計画すら…風化してしまった。




それから世紀を跨いで21世紀…



再び…父上が総理に就任し…ダム建設計画が再開された…




「…吾妻ダム建設計画の便宜を図る為に…」



「…やはり…4人兄弟の中でも一番の切れ者だけあるな…敦司様は…」



長谷の口調は私を賞賛してるようにも取れたが…私の才を羨望し嫉妬するキモチも見え隠れしていた。