「…男の子だったらどうするの?」




ここまでは考えてなかったらしく、夕里はどうしようか考えている。




「もし、男の子だったら子を消して嘉(ひろ)にするよ。
でも俺はきっと産まれてくるのは女の子だと思う」




…不思議。
夕里が女の子だって言うと、本当に女の子が産まれてくると思ってしまうの。




それほどまでに夕里の言葉は信じられる。




私の太ももを枕にするように夕里はソファに寝そべる。




「…嘉子が産まれたら、また新しく3人で歩いて行こうね?」




「………うん!」




夕里の頭を撫でながら、笑顔で答える。




嘉子。
あなたのお父さんはあなたが産まれてくるのを今か今かと待ってます。




私も早くあなたの顔が見たいです。




私と夕里の間に嘉子がいて、3人仲良く手を繋いでる光景が想像出来る。




きっとそんな明るい未来が私達に待っている。




私と夕里で切り開いてきた道も、あなたが加われば躓くことのない真っ直ぐな道になる。




それでも躓くことなんていくらでもある。




人は躓いて、転んで、成長していくものだから。




でもね?どんな時も私には夕里とあなたがいれば乗り越えられるって思うの。




だから3人で力を合わせて、頑張っていこうね?




あなたの名前はまだ考えてなかったけど、あなたが産まれてきた時に言う言葉は決めてあったの。




『産まれてきてくれてありがとう』




ううん、これじゃない。




『やっと会えたね。お疲れ様』




ううん、これでもない。
私が言うのはね?




「…これからよろしくね?私達の幸せのヒーロー」




END