「……かこ?」
私が読み上げると、夕里は首を左右に振った。
「…嘉子(ひろこ)って読むんだ。この子の名前」
夕里はそう言って私のお腹を撫でた。
名前なんて産まれてから考えようかなって思ってたのに、夕里はもう考えてくれたんだ。
「…嘉子の嘉っていう字は立派とか美しい、幸いという意味があるんだ。
だから周りの人達を幸せに出来るような子に育って欲しいと願いを込めてこの名前にしたんだ。
もう一つはね?」
すごくいい名前だと言おうとしたら、もう一つ意味があるらしい。
小首を傾げて夕里が言うのを待つ。
すると夕里は私の額に自分の額をくっつけて、私の頬を優しく撫でた。
「…ヒーローの子だから嘉子」
悪戯の成功した子供のような笑顔を見せる、夕里。
つい面白くて吹き出してしまう。
ヒーローの子供だから嘉子って、普通我が子に付けないよ。
それに……