「…栗丘さん、紗奈のこと頼んでもいい?俺が紗奈の傍にいるべきなんだけど、李も心配だから」



え、なんでこの人が私のとこについてくるの?



私と同じことを思ったのか綾女が一歩前に出る。



「だったら私が李を…!」



そうだよ、綾女の言う通りだよ。



チャラ男先輩は北村さんの傍にいるべきだよ。



私なんかの傍にいる理由が先輩にはない。
北村さんの傍にいた方が北村さんも安心するに決まってる。



「…私は綾女がいればいいですから…。先輩は北村さん……」



私の言った言葉にチャラ男先輩の表情が曇ったのが分かった。



なんでそんな顔するの?
私間違ったこと言ってないと思うけど…



「いいから行くよ」



そう言ってチャラ男先輩は私の手を握ったまま歩き出した。