「助けられなくてごめんな？よく頑張ったよ、李。紗奈を助けてくれてありがとう」
優しい声でそんなこと言わないでください。
涙が止まらなくなるじゃないですか…
私は声を押し殺して泣いた。
綾女が私の傍にやってきて先輩のブレザーを握っていた私の手を両手で優しく包み込んでくれた。
困ってる人を助けた私を助けてくれる人なんていないと思ってた。
私の心を助けてくれたのは出会ったばかりのチャラ男先輩だった。
優しくしてくれただけで、どれだけ私の心が救われたのか先輩も私も知らない。
こうやって女の子に優しくするから、私からチャラ男先輩なんて言われるんですよ？
私は泣き止むまで私はチャラ男先輩のくせにと心の中で繰り返していた。
