しばらく歩いて入らされたのは、どこかの空き教室のようだった。



「…じゃ、私達はこれで行くね!」


「え、ちょ、綾女!?」



私の手を握ってくれてた手が離れて、ドアが閉まる音がした。



教室内は静かで誰もいないみたいだ。



「…もう、一体何があるって……」



髪型が崩れないようにアイマスクをとる。



すると窓際に驚く人がスーツ姿で立っていた。



「…なんで……ここに?」



式にはいなかったのに……



「式にはわざと出なかった。李を驚かせようと思って」



学校のカラーの演習で染まった、金色の髪。



髪色が変わっても、そこにいるのは私の愛しい人だった。



私にニコッと笑顔を見せる、夕里。



「…卒業おめでとう、李」



夕里はいつもみたいに両手を広げて私を見る。
私は早足で夕里に近付いて、思いっきり夕里に抱きついた。