「そんなことより、ももちんはなんの大学目指してるんだっけ?」



早苗はストローで氷をかき混ぜながら、話を切り替えた。



「…私は臨床心理士になるために、心理学系の大学に行くよ。
困ってる人の話を聞いて、助けてあげたいから」



元々、この仕事につきたいと思ってた。
だって困ってる人を助けられるから。



話を聞いて、少しでも楽になって欲しいから。



「さすがヒーローだな。あんたには天職だよ、それ」



りかはふっと笑って私の頭を、髪がグシャグシャになるくらいに撫でる。



天職。
本当にそうなればいいな。



よく大学入ると思ってたのと違うとかあるらしいから、正直不安。



でもりかや早苗や花織、そして綾女が大丈夫って言ってくれると本当に大丈夫な気がするんだ。



だから頑張れる。



私の頭を撫でていたりかの手が、私の肩へと降りてきた。



「でもまずはこっちを終わらせろよ?」



そう言って私に見せてきたのは英語のテスト。



せっかく将来を考えていたのに、すぐ現実に引き戻された。



私ははぁと一息吐くと、また追試の勉強を始めた。