「…あの〜、りかさん…ちょっとお静かにしてもらいたいんだけど……」
バイトをしてる綾女が小声で言ってきた。
綾女の声でひと段落ついたのか、りかの笑いはやっと止まった。
ちなみにここは綾女のバイト先。
綾女は相変わらずバイトを頑張ってる。
「だって英語がこんな点の奴がパリの大学行こうとしてんだよ?そりゃあ笑うしかないだろ」
また思い出したのか、クククと笑ってる。
「パリはフランス語でしょ?だからフランス語の勉強してたの。英語なんて使えないよ」
正論だと思って言ったけど、あっさりと知識豊富のりかに反論される。
「ほんっと馬鹿だな。英語は世界共通言語だぞ?
フランスでもどこでも英語は使えんだよ」
それには驚いた。
フランスはフランス語しか使えないと思ってたから。
これじゃあ、馬鹿と言われても反論出来ない。
「…りか、李をからかうのはその辺にして。
勉強、教えてあげよ?」
空気を読んだ花織はカップを置いて、笑みを浮かべた。
その時、私は花織が空気の読める女神に見えた。